新プリに温泉湧出
今回は、昨年5月から掘削していた新富良野プリンスホテルの温泉の話題です。大型リゾート施設にとって温泉を併設しているかどうかで集客力はまったく変わってきます。念願の温泉が湧出したことで富良野市内では3ヵ所目、上富良野町・中富良野町を含めると10ヵ所目の温泉施設となります。

当初は今年の7月にオープン予定でしたが、掘削に時間がかかったことで現在は10月のオープン予定となっていて、ラベンダーの季節には間に合わないようです。
湧出量は毎分410リットル、26.3度。無色透明で泉質は弱アルカリ性ということです。富良野市内にある温泉宿泊施設、ハイランドふらのと同じ泉質と聞きましたので「単純泉」ということになりそうです。
ここで温泉に関するウンチクです。全国各地で温泉の偽装や、道内でも川水で増量していた事実が明るみになっています。改めて温泉とは何かを考えてみます。
そのお湯が温泉かどうかは温泉法で定められた基準を満たしているかどうかで決まります。基準には2つあり、どちらか一方を満たしていれば堂々と温泉と名乗れます。
- 特定の成分を含む
- 泉源が摂氏25度以上
十勝岳温泉はナトリウムやカルシウム、アルミニウムといった成分の含まれたかけ流し式の、いわば「ほんもの」の温泉で、上記の1を満たします。一方今回掘削された温泉はナトリウムやカルシウムも含んでいるそうですが基準値を超えているかは不明で、基準値を満たさないとすると上記1は満たせないことになります。
今回は千メートル掘削して掘り当てたということですが、地中百メートル掘り進む毎に2.3度上昇するそうで、千メートル掘れば日本中どこを掘っても温泉は出てくるという理屈です。東京や札幌のど真ん中、全国各地に町おこしで作られた温泉施設が点在するのも頷けます。今回の温泉もこの意味で同じものといえます。
このことを踏まえて。今回の温泉施設の新設は非常に喜ばしいことですが、観光関係者に不快な印象を与えるかもしれないことを承知であえて書きますが、ホンモノとは言いにくいでしょう。温泉にはそれぞれ特有の効能があって「癒し」や「安らぎ」をイメージしますが、それは温泉法の1の定義を満たした場合であり、十勝岳温泉や吹上温泉といった富良野地方を代表する温泉と同質とは言いにくいでしょう。
ではなぜ、この時期に新プリで温泉なのか。はっきりいえば集客のためです。富良野地方の観光客はドラマの終了や旭山動物園の影響もあって漸減が続いています。また西武グループ自体の再建策の一環で富良野地区の強化が図られています。総事業費6億5千万円かけても「温泉」という看板を掲げたかったということでしょう。施設が温泉の看板を掲げているかは宿泊先を選ぶ判断材料としては重要で、特に団体客を見込む大型リゾート施設では営業の面で非常に有利になることでしょう。
この観点で他の施設をみてみます。
例えばトマム。数年前に「木林の湯」がオープンしましたが残念ながら温泉ではないため今ひとつ集客には力不足です。トマムで働いたこともあり応援したい立場からすれば「温泉だったらもっと利用客も増えるのに」という思いがあります。
例えばオリカ。中富良野町の小高い丘の上にあり、現在は民事再生法の適用を受け、加森観光の傘下で再建中です。町民感謝企画で浴槽を無料解放していた時期があり、よく利用させてもらいましたがジャグジーやサウナ、現在は露天風呂も完備し満足度の高い施設ですが、惜しむらくは「温泉ではない」ことです。
誤解を恐れずにいえば、どちらの施設も今回の新プリの温泉と水質には大差ないでしょう。一方は温泉とチヤホヤされて、一方はタダの沢水と見向きもされないのは残念なことです。
十勝岳温泉のような由緒正しいかけ流しの温泉も、25度さえ満たせばいいと資本力に物を言わせて手に入れた温泉も、同列に温泉としての箔が付くのは温泉法の定義によるものです。法改正を主張するのは専門家にお任せするとして、ここでは温泉にもいろいろあるということを理解してもらいたく、あえて辛口な論評を行いました。
とはいえ私も、今回の温泉の誕生をひそかに喜んでいる一人で機会があれば利用したいと思っています。日帰り客を受け入れるかは不明ですが、ハイランドふらの同様ぜひ地元に愛される施設になってもらいたいと思います。
上富良野町民の立場としては、新プリの温泉を楽しんだら十勝岳温泉にも足を伸ばしてね、と一言付け加えて終わりにします。
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このブログは北海道・富良野地方のラベンダー発祥の地・上富良野町東中地区で農的な暮らしをしている管理人が、富良野を訪れる観光客への有意義な情報の提供と、全国でラベンダーの栽培に取り組む方との交流を目的に作成しています。
